地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業が銀行と関係性を構築するには

創業したばかりの経営者の中には
「銀行とどのように接すればよいかわからない」
「悪い情報を伝えたら取引を断られてしまう」
「融資を断れたことがあるから二度と付き合わない」
などと言う人がいます。

地方中小企業は
銀行とどのように関係性を構築すれば良いのでしょうか?

銀行から融資を受けるには

ただ「お金を貸してくれ」と伝えて、
要求通りに融資されることはありません。

今どのような状態なのか?
なぜ資金が必要となっているのか?
資金は何にどれだけ費やすつもりなのか?
どのように返済していくのか?
その後、事業はどう成長していくのか?

これらをセットで提示しないと、
銀行内の稟議を通ることはありません。

例えば
運転資金を借りたいと考えている経営者の場合、

・資金繰り表で資金が不足する時期を明示する

・そもそも運転資金が足りなくなった要因を説明する

・希望通りに運転資金を借りられたら、
どのように状況が改善するかを別の資金繰り表で示す

・融資を受けた資金をどのように利用するか示す

・返済原資をどのように生み出すかを証拠と共に示す

といった事前の準備が必要です。

ここで重要なのは
見栄を張らずに正直にすべてを伝えること。
都合の良くなるように数字を調整したり、
不都合を隠そうと虚偽の説明をしたりしてしまうと
銀行にはあっという間に察知されてしまうものです。

助けてもらいたいのであれば、
素直に状況を伝え、
客観的な資料を添えてお願いすることです。

ある銀行員と話したこと

商工会議所でお話しした時のことです。

講演では家業を事業譲渡した経緯を話し、
私が取引金融機関とどのように向き合い、
どのように支えてもらったかをお伝えしました。

例えば、
「支援してもらいありがとうございます」
と口に出して感謝の気持ちを伝えていたとか、

銀行に出向く時は紺無地のスーツに
白ワイシャツを着ていたとか、

些細な情報も噓をつかずに伝えていたとか、

銀行とお付き合いする際の
私なりの心構えを話しました。

その講演を聴いてくれた銀行員の方が、
終了後に声を掛けてくれました。
「銀行に対して噓をついてしまう経営者が
とても多いんです、、、」
と言うのです。

これにはびっくりしました。

噓をつかずに話すなどというのは
人として当たり前のことです。

具体的には

・銀行に提出する数字を「ちょっと」修正して
達成率を100%にする

・資料の見栄えが良くなるように数字を書き換える

といったことをしてしまう人がいるのだとか。

一度の噓で、
すべての信用を失うことになります。
噓の大小は関係ありません。
追い込まれた一部の経営者は
魔が差してしまうのでしょう。

迷ったら正しいことをする、
もしくは
まっとうな選択肢を選ぶ。

これまた当たり前のことですが、
ブレずに軸を持つことが必要です。

銀行本店の入り口

銀行は地方中小企業の対等なパートナーです

悪い情報ほど真っ先に伝える

私が家業の代表取締役を務めていた際に、
品質に関わる不祥事と
仕入先との取引慣行に関わる不祥事を
それぞれ引き起こしてしまいました。

江戸時代から続く地方中小企業は法令違反にどう対応したか

私の経営者としての大きな失敗を取り上げます。家業は江戸時代から続く陶磁器卸小売の老舗でした。2010年に父から事業承継し、必死で売上のV字回復を目指していた頃の出来事です。 食品衛生法に基づく商品回収 2012年1月、商品から食品衛生法による規制値を超える「鉛」が検出され、岐阜県から回収命令が出…

地方中小企業の品質管理

家業の代表取締役在任中に、品質に関わる不祥事を出してしまったことがあります。 規制値を超える鉛を検出 新聞記事から引用します。 製造した食器から規制値を超える鉛が検出されたとして、岐阜県は二十日、食品衛生法に基づき、同県瑞浪市山田町の陶磁器製造販売会社「萬皿屋」に回収命令を出した。食器は京…

銀行からの支援を得られなければ
事業を存続させることが出来ない状態であった家業です。

これらの不祥事は
銀行からの信用を失いかねないものでしたので
私は大きな危機感を抱きました。

この時どのように対応したかというと
・情報をすべて伝える
・できるだけ早めに伝える
・代表取締役の言葉で伝える
の3点を意識しました。

もちろんお叱りは受けましたが、
不祥事に真っ正面から取り組んだ結果、
経営上の大きなダメージは発生しませんでした。

伝えるべきを伝えなかったり、
言い出しづらくて隠そうとしたり、
私が説明を逃げてしまったりしたら、
あのようには決着しなかったことでしょう。

銀行は事業の持続可能性を担保するには
欠くことのできないパートナーです。
そのパートナーに媚びる必要はありませんが、
敬意と感謝の気持ちを持って接すれば
良い関係性を構築できることでしょう。

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