地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

事業を成長させ続ける責任

経営者の最も重要な役割は
事業の持続可能性を担保すること。
つまり事業を存続させることです。

現状維持は衰退

先日、ある投資ファンドの人と
お話しする機会がありました。

いくつか質問いただいた中で印象に残ったのは
・家業が衰退した要因は何だと考えているか?
というものでした。

私は、

かつての家業は「京都の茶わんや」として
新しい商売に貪欲に挑戦していた。
ところが1990年頃の業績のピークを境に、
その進取の気性が徐々に失われていった。

戦後の業績の伸長が
あまりに強烈な成功体験であったために、
現状維持を良しとする文化が蔓延してしまった。
成長させ続ける文化を創れなかったのは経営の責任だ。

といったようにお答えしました。

話はそれますが、
投資ファンドや事業会社の人とお話しする際、
私に注目してくれた理由をお尋ねすると
「家業を倒産させた経験があるから」
と言われることがほとんど。

私のように
家業を投資ファンドに事業譲渡した経験を
積極的に開示している人は少ないのでしょう。

多くの利害関係者の理解を得て家業を存続させ、
かつ、過去からの負債を整理しきっていること。
このあたりを冷静に見てくれているのかなと感じています。

事業性を高める

多くの地方中小企業と関わっていると
事業性が非常に乏しかったり、
あるいは、ほぼゼロの会社と出会うこともあります。

このような会社の経営者に共通しているのは、

・軸となる事業が見えず、
目先の売上を得られそうな事業に適当に手を出している

・長年商売をしているにも関わらず顧客名簿が整備されていない、
あるいは既存客を放置し新規客ばかりを探している

・楽して稼ごうとばかり考え、
地に足をつけた営業活動に取り組めていない

といったことです。

反対に地方中小企業であっても
キラリと光る存在感を示している会社の特徴は、

・自社の強みを意識して構築し、
競合優位性を高め続けている

・しなやかに変化し続けることを恐れず
時代を先読みして新規事業に取り組んでいる

・顧客の困りごとを解決する、
真の営業活動が売上に結びついている

といった点が共通しているように見えます。

たち吉本店(大正初期)

老舗は変化し続けているから生き残ることができています

次世代の従業員のために

ある製薬会社の役員と話した内容です。

業績は堅調で生産設備はフル稼働状態。
そんなタイミングで、
新規事業を始めたいと相談にいらっしゃいました。

なぜ今取り組むのですかとお尋ねすると
「次世代の従業員のために
今から種まきをしておくのが自分の役目だ」
とおっしゃいました。

目先の売上や業績に惑わされず、
自分が退職した後の後輩達のために
今から出来る準備をしておこうというのです。

この発想は
雇われている立場からは生まれないかもしれません。
取締役会メンバーであるからこそ、
経営担当者の一人として考えつくことでしょう。

経営者の最も重要な役割は
事業を存続させることです。
存続させるためには
常に新しいことに挑戦し続ける必要があります。

老舗が老舗であるのは
旧いことを頑なに守り続けているからではなく、
進取の気性を失わずに貪欲に挑戦し続けているから。

経営者には
事業を成長させ続ける責任があります。

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