地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

中小企業支援の第一歩は話を聞くところから始まる

中小企業支援業界に身を置いて、
まもなく6年目が終了します。

経営者の思いを探るところから始まる

「傾聴」という言葉は
あまり好きではありません。
何か表面上の姿勢だけを言っているような気がし、
自分ではあまり使わないようにしている言葉の1つです。
カタカナ語みたいな感じといったら良いでしょうか。

また対話のテクニックで
「言い換え」というのも最近よく聞きますが
同じく強い違和感を感じます。

相手の話す言葉を
適度に言い換えながら相づちを打てば
より共感を得やすくなるといった考え方。

「今のは〜ということですよね」
「それはつまり〜ということですよね」
といった具合に話せば良いらしいです。

機械的にそんな反応ばかりをしていたら
あっという間に違和感を抱かれるだけだと思うのですが。

私が事業者とお話しする際に、
大事にしていることはまずはしっかり聞くこと。

例えば、
いきなり財務諸表の欠点を
指摘するようなことはありません。

「売上が下がり続けていますね」
「経費をコントロールできていませんね」
「人件費を減らしたらどうでしょうか」
といったことであれば
数字さえ認識できれば誰でも言えることだからです。

かつての私もこのようなことを話す、
経営コンサルタントや専門家らしき人に翻弄されました。
もちろん悪意がある人々ではないのですが
ご自身が経営に携わったことがないために
話している言葉がまったく響いてこないのです。

地方中小企業の経営者が考えているのは
突き詰めれば「今より良くなる」ことです。
この思いの背景を探るところから始めなければ
中小企業支援を始めることができません。

私が相談にいらした人と話している時、
周りで見ている人からは
まるで雑談をしているようにしか見えないそうです。
また、ほとんど私はしゃべらずに、
経営者がばかりが話していると言われます。

まずは徹底的に話を聞く

私が初回の相談で経営者にお伺いするのは
「最近どんな様子ですか」
「体調はどうですか」
「なにか困っていることはないですか」
「この先どうしたいですか」
「これまでどんなお取り組みをしてきましたか」
といったことです。

それぞれの質問を深掘りしていくと
あっという間に一時間くらいは過ぎます。
現状を把握するにはほぼ十分。

この対話だけで満足し、涙を流して帰る人もいますし、
次回以降も売上アップのヒントを
一緒に考えるために通い始める人もいます。

徹底的に話を聞くところから始めれば
その後の支援も滑らかに進みます。

勇気を振り絞って相談に来てくれた経営者。
いきなり支援メニュー(らしきもの)をぶつけるよりも
まずはすべてをさらけ出してもらうことの方が先です。

私が知恵やアイデアを提案するのは
基本的に2回目以降の相談時から。
まずは初回にしっかりと思いを吐き出してもらい、
私が現況を理解することが大前提です。

メモ帳とボールペン

メモを取りながら話を聞くようにしています

ある経営者からの言葉

先日の出来事です。

ある経営者に
相乗効果のありそうな他社を紹介しようと連絡しました。

日時の調整のために連絡したつもりですが、
経営者からの返事は
「企業紹介より、岡田と話す時間を作ってほしい」
というものでした。

何か具体的な用があるのではなく、
今後の取り組みの方向性について
私と議論したいと言うのです。

支援する側は
制度や助成金などの支援メニュー(らしきもの)を
ついつい紹介したくなるものですが、
地方中小企業の経営者が求めているのは
思いを理解してくれる支援者との対話なのです。

先生だとかコンサルタントと言われてちやほやされると
ついつい上から目線で何かを押しつけてしまいがち。

何かを教えることよりも
まずはしっかり話を聞くことが重要。
7年目も初心に返って対話を繰り返したいと思います。

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