企業を維持するためにはどうしたら良いか
企業を維持していきたいと考えるのは自然なことです。
安定的に維持するためにはどうすれば良いでしょうか?
衰退の要因
私が代表取締役を務めていた家業は
江戸時代に創業し、
戦後に法人化してからは
1990年頃まで右肩上がりの成長を続けました。
百貨店へ出店し、
中元・歳暮などのギフト需要を掴み、
京都の四条通りに自社ビルを建築するまでに成長。
しかし1990年以降は業績が悪化し続けます。
私が代表取締役に就任したのが2010年。
2015年には投資ファンドに事業譲渡し、
過去からの負債を整理し、
事業を存続させるのがやっとでした。
衰退の要因はいくつかあると考えていますが、
最大のものは「進取の気性」が
失われてしまったことです。
同じことを続けても成長できない
かつての家業は
京都の茶わんやながら
常に新しい商売に挑戦し続けていました。
例えば
・頒布会形式での販売
・店頭での事前予約形式での販売
・店頭での季節感ある演出
といったようなもの。
ところが、いつの間にか、
挑戦する文化が失われてしまったのです。
これはもちろん経営の責任。
事業を存続させるためには
常に新しいことに挑戦し続けなくてはいけないという
ごく基本的な心構えを社内で共有できなくなっていました。
1990年以降の社内の思考回路は
「このまま百貨店での商売を続ければ良い」
「百貨店の売り上げが下がったといってもいつかは回復する」
「新しいことを始めると百貨店との商売に支障が生じる」
といった感じでした。
今にして思えば
現状維持を考えた時点で
衰退が始まります。
同じことをただ続けても成長できないのです。
新しいことに挑戦し続ける
既存の顧客はいつか必ず離脱します。
また革新的な商売の手法も
いつか必ず陳腐化して通用しなくなります。
事業を維持させたいのであれば
新しいことに挑戦し続けること。
私が関与先の経営者に言い続けていることです。
先日、ある経営者の方から
「家族に事業承継できそうだ」
「事業をこのまま維持させるには
どうしたらよいか」
とコメントを求められました。
現状、必ずしも余裕のある経営状態ではなさそう。
ましてや成長産業に属しているわけでもありません。
私が申し上げたのは
「苦しい状況だからこそ、
新しい事業を始めましょう」
「今から種まきをしておかないと
そのうちに
種まきもままならない状況になりかねません」
「新しいことに挑戦し続けて、
ようやく現状維持が可能なります」
といったことでした。
過去と同じことだけをし続けて、
安定した経営ができればよい、
というのは親心なのかもしれません。
でも商売の世界では
維持しようと思って、
そのまま維持できることなどありません。
人に笑われるようなことや
当初は従業員の理解を得られないようなことであっても
経営者が胆力を持って
新しいことに挑戦し続け、
初めて現状維持あるいは成長が実現するのです。
その会社では
ファクスで受けている受注業務を
RPAで省力化しようと検討を進めています。
小さな一歩でも
挑戦を始めることで新しい世界が開けます。
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