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コラム

中小企業支援家に必要な資質

ある創業社長とお話しする機会がありました。
中小企業支援家に求められる資質について
考えるきっかけになりました。

「審査員はわかってくれない」

独自の技術で新規性の強い事業を営んでいる社長。
初めて私とお話ししていると
(岡田は)すぐに事業の可能性を理解してくれた」
と喜んでくれました。

私からしたら当然の話で、
技術資料も展示してありましたし
現物もわかりやすく用意されていました。

それらからの情報を整理した上で、
かつ、表面上の言葉や物に惑わされることなく、
「あぁ、これはリアル○○○を実現するものですね」
「例えば○○○○に利用できないですか」
などと申し上げただけです。

しかし社長がおっしゃるには
事業の持つ可能性や本質を
理解してくれる方が少なくて苦労しているとのこと。

例えばコンテストなどに応募し、
技術に知見のある審査員(学術関係者)などからも
「これはこういうことには利用できない」
などと否定されてしまうだけだというのです。

さらに会話を続けると社長は
「学術関係者だからといって事業性を評価できるわけではない」
「(岡田のように)まっさらな頭で話を聞いてもらいたい」
とも言います。

「話を聞いてもらえる」だけで感謝される

夜の懇親会では別の社長とお話ししました。

話の流れで私の支援スタイルについて
「まずは話を聞いてくれるからありがたい」
とおっしゃってくれました。

全く理解できないのですが、
支援する側の人間が経営者と会う機会に
まず話を聞かないでどうするのでしょうか。

・最近の事業の様子
・最近、経営者が考えていること
・何か困っていることはないか
などまずは話してもらわないことには
支援する方向性も決められないと思うのですが。

私が「話を聞いてくれる」というだけで
評価されてしまうのは、
反対から見れば、
いかに経営者の話を聞かずに
支援らしきものを押し付けようとする人が
多いかの証だと思われます。

経営者の困りごとも把握しようとせずに
支援する側の実績作りのためなのか
そもそもコミュニケーション能力に乏しいのか
一方的に何かを押し付けようとするのは
嫌われる「コンサルタント」の典型です。

商談でも同じで、
まずは相手の懐に飛び込み、
困りごとを探るところから営業活動は始まります。

最初から価格やスペックを案内したところで
購買に至ることはないのです。

ごくごく当たり前のことですが、
経営者を支える中小企業支援家は
まずは話を聞くところから支援を始めます。

話を聞きながらメモを取る人

心の底から「聞く」ことが重要です

事業の主役は事業者

日々、事業を動かすのは事業者
時間や資金の投資を決定するのも事業者
利益を享受するのも事業者

つまり、
事業の主役は事業者です。

中小企業支援業界に関わっていると
支援する側の自分が主役と勘違いしている人を
たまに見かけます。

例えば
・妙に高圧的な態度で事業者に接する
・求めてもいない支援メニューを押し付けようとする
・一線を越えて経営に関与しようとする
といった具合です。

こういった人物は困りもので
自分が経営者より優れていると思いがちで
かつ、
話をろくに聞かずにアドバイスをしたがります。

私は経営コンサルタントと呼ばれるのが苦手です。

なぜかというと、
ここまで書いてきたような「困ったコンサルタント」と
混同されてしまうのを恐れているからです。

私は事業者の「踏み台」になりたいと考えています。
事業者が独力では届かないところにある成果を掴み取るために
道具として使ってもらいたいのです。

主役は事業者であって、「踏み台」の私ではありません。

中小企業支援家としての6年目もまもなく終わります。
謙虚にそして素直な心で経営者と接したいと考えています。

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