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コラム

ピッチに踊らされる経営者になるな

起業・創業に関わる仕事をしていると
「ピッチ」に振り回されている人々を
目にすることがあります。

ピッチとは

ピッチとは、投資家などに自社の商品やサービスを
短時間で説明するプレゼンテーションのこと。

資金調達を目指していたり、
経営パートナーの獲得を目指していたりする経営者が
行政や支援機関が実施するピッチイベントに登壇し、
予め設定された短い時間内で
自社の魅力や将来性を伝えようとします。

例えば
私が過去に関わったビジネスプランコンテストでは

書類審査

事業計画立案のためのワークショップ

再度、書類審査

最終審査

という過程で審査が進みます。

この場合、
最終審査がいわゆるピッチです。

地元経営者や金融機関管理職の前で
数分間のプレゼンを求められます。
最終審査ですので直後の審査で
最優秀賞、入賞などが決められます。

私がこうしたピッチやプレゼンに登壇する
事業者を支援する場合は
ひたすら練習を繰り返してもらいます。

台本ができていなかろうが、
スライドが仕上がっていなかろうが、
最初からプレゼンを行うのです。

なぜこうした厳しい練習をするかというと

・人前で話す場数を踏む

・言葉で発することで、
自分の事業計画の改善点を認識する

・うまく話せなくても時間内に
プレゼンをまとめられるようにする

といった理由からです。

特に重要なのが、
最悪を想定したイメージトレーニング。

つまり最後に挙げた、
うまく話せなかったとしても
それなりにまとめて終わらせる能力です。

頭が真っ白になってしまったり、
数字などが飛んでしまったりしても
どうしても伝えたいメッセージだけを
きっちり伝えきって終わらせれば、
それはそれで、
聴き手に深く感銘を残すものです。

うまくプレゼンするのではなく、
何らかのメッセージを聴き手に伝えきる。
私が重視している点です。

ピッチに踊らされる人になるな

ある事業者の事例です。

「ピッチイベントで入賞した」

「次は○○のピッチイベントに出場する」

「でもなぜか事業が進まない、、、」

こうしたことを口にしていました。

典型的な
ピッチに踊らされてしまっている人です。

人前で話すことさえうまくできれば
事業性の高さを保証されたと勘違いし、
まだ何も動き出していないのに
さも成功しつつあるように
錯覚してしまっています。

ピッチはあくまで
目的を達成するための手段。

資金調達や求人を実現するために
短時間のプレゼンで
自社の魅力を伝えようとするだけのもの。

創業支援界隈では
プレゼンの巧拙と事業性の評価を
混同してしまいがちです。

ましてや
経営者本人が混同してしまうと
目も当てられません。

話し方や構成の巧拙に囚われず、
何を生み出そうとしているのか、
さらには具体的な行動に目を向けるべきです。

舞台上の照明とミラーボール

ピッチよりも「どぶ板営業」に時間を使いましょう

ピッチよりも重要なこと

ピッチよりも重要なのは
どぶ板営業です。

キラキラとしたイベントとは
対照的な地道な営業活動。

でも、どぶ板営業を
やりきれている事業者がどれだけいるでしょうか?

冷静に見渡せば、
関係者ばかりが見学に来ているピッチよりも、
地道などぶ板営業をコツコツ続けた方が
自社の商品・サービスの売上に繋がります。

人前で話すのが苦手であったり、
プレゼンが評価されなかったからといって、
事業性を否定されたわけではありません。

ピッチは所詮、ただの発表会。
夢を実現する魔法の杖ではありません。

ピッチイベントを歩き渡る時間があるのなら、
どぶ板営業に時間を費やしましょう。

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