失敗体験を自己開示できると強い
世の中では成功体験ばかりが目につきます。
しかしその裏には同じ数だけ、
あるいはそれ以上の失敗体験が存在しているはずです。
失敗体験を情報発信すると何が起きるでしょうか。
日経ビジネス「敗軍の将、兵を語る」の取材を受けた経緯
2015年3月、
私は家業を投資ファンドに事業譲渡しました。
代表取締役を退任したあと、
家族を養うためにも
第二の社会人人生を歩む必要がありました。
そんなとき、
日経ビジネス誌から取材依頼が入りました。
正確には投資ファンドから連絡があり、
日経ビジネス誌の記者から
「敗軍の将、兵を語る」という連載記事に
家業の事例を取り上げたいと
依頼が来ているというのです。
連絡を受けた瞬間に湧いてきたのは
「みっともないな」
「恥ずかしいな」
という感情でした。
江戸時代から続く家業を事業承継しながら
立て直すことができなかったばかりか、
投資ファンドへ事業譲渡してしまった私です。
そんな記事が掲載されたとしたら、
読者はどのように受け止めるでしょうか。
また同時に次のようなことも考えました。
「自分も他社の失敗談から学ばせてもらった」
「他の経営者の役に立つなら話してみようか」
といったことが頭に浮かんだのです。
迷いましたが、
投資ファンドにも再度連絡しOKを取った上で
上記のような記事を書いてもらいました。
ホテルのロビーで取材を受け、
記者さんが私が話したような形で執筆したものです。
日経トップリーダー「老舗たち吉を売った理由」の取材を受けた経緯
その後、
私は中小企業支援家に転身。
ある自治体が新設した、
ビジネス支援センターでセンター長になり、
創業を志す方や、
中小企業経営者の相談を受ける仕事を始めました。
売上アップのための知恵とアイデアを提案すると
徐々に支援の成果が生まれるようになりました。
その様子がメディアにも取り上げられ、
ますます多くの支援事例が蓄積されていきます。
2019年、
私は日経BP社に出版企画の提案に赴きました。
残念ながら出版は難しいとのことでしたが、
その後、私の講演を聴きに来てもらうことが実現。
講演の様子が日経トップリーダー誌で記事になります。
講演の書き起こしと
事後のインタビュー取材、
さらに追加資料を提出するなどして
このような記事にまとめてもらいました。
出版はかないませんでしたが、
それ以上の紹介をしてもらうことができたのです。
独自の立ち位置を築く
2022年からは
大学連携型起業家育成施設での
インキュベーションマネージャーを務めながら、
顧問契約をしている地方中小企業への
経営コンサルティングも行っています。
こうして中小企業支援家として
活動を継続できているのも
日経ビジネス誌の
取材に応じたことがきっかけです。
世の中には
多くの経営コンサルタントがいます。
また同じように
社会保険労務士も多くいます。
私の場合は
失敗体験を開示したことで
多くの競合に埋もれないような
独自の立ち位置を築くことができました。
失敗体験を語るのは
勇気が要ることです。
しかし、
個性と世界観を伝えるためには
世の中に溢れかえっている成功体験よりも
多くの人が語りたがらない
失敗体験の方が有効です。
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