地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

地方中小企業に求められる営業秘密管理

営業秘密を守るためにも
従業員と秘密保持契約・誓約書を交わすことは必須です。

営業秘密とは

そもそも営業秘密とはなんなのかを把握しましょう。

以下のウェブサイトにまとめられています。

営業秘密~営業秘密を守り活用する~ 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

不正競争防止法上の営業秘密とは
有用性、秘密管理性、非公知性
の3つを満たす必要があります。

特に地方中小企業では
「秘密管理性」
が怪しい所が多いのではないでしょうか。

秘密管理性を担保するためには
「客観的に秘密の管理状態を維持する」ことが必要で、
アクセス制限と秘密であることの明示が求められます。

例えば
顧客名簿にパスワードを掛けていたとしても
パスワードが全従業員に知れ渡ってしまっていたら
秘密管理性が保たれているとは言いがたいでしょう。

また
同じく顧客名簿が
鍵付きのキャビネットに収納されていたとしても
「社外秘」「秘密」
などと明記されていなければ
秘密管理性が保持されているとは見なされません。

まずは
営業秘密とは何かを理解し、
自社の営業秘密をリストアップすることが求められます。

従業員との秘密保持契約・誓約書

従業員と秘密保持契約を締結することは、
営業秘密を適切に管理するためにも重要です。

会社の管理体制を従業員に知らしめることにもなり
不正行為を抑止することに繋がります。

しかし、
入社時に取り交わすのみでは不十分です。

なぜなら
入社時の秘密保持契約の内容は
どうしても一般的な内容に留まってしまうからです。

各種契約書等の参考例 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference2.pdf

このテンプレートでは

  • 在職時の秘密保持
  • 退職後の秘密保持
  • 損害賠償
  • 第三者の秘密情報
  • 第三者に対する守秘義務等の遵守

を定めています。

このように入社時に提出させる秘密保持契約では
文字通り入社前なので
一般的な内容しか記載することができないのです。

ではどうすれば良いのか。

退職時にも、
より詳細な秘密保持契約を締結するのです。

在職中に関わった
「具体的なプロジェクトや業務」を記載し、
その内容に関して
秘密保持義務を負っていることを確認します。

技術情報・ノウハウ
人事情報
経営・財務に関する情報
顧客情報
取引先に関する情報
などといった具合に
具体的に列挙することがポイントです。

注意点は就業規則に
「会社が求める際には秘密保持誓約書を提出する」
といったように定めておくことです。

根拠規定がなければ
従業員に提出を義務づけることができません。

USBメモリーとデータ

USBメモリーの管理も重要です

顧客名簿が最も重要

ある地方中小企業での事例です。

ベテラン従業員Aが退職した後に
顧客名簿が無くなっていることが判明しました。

分厚い顧客名簿のファイルが
どこかに消えてしまったというのです。

その会社の顧客名簿は
A以外は利用することが少なく、
普段から管理はAに任せきりになっていたとのこと。

その後しばらくしてAが古巣と同じ業種で開業。
聞くところによるとAはDMを盛んに発信し、
集客に努めているというのです。

あわてた会社は
Aが顧客名簿を持ち出したのではと疑い、
調査を始めましたが、
手がかりを得ることはできませんでした。

Aに書面で問い合わせたものの
弁護士経由で返ってきた書面には
「顧客名簿は一切持ち出していない」
と書かれているのみ。

会社は泣き寝入りするしかなかったそうです。

地方中小企業の秘密は
適切に管理されていなければ
法律上の「営業秘密」にはなりません。

特に顧客名簿は
顧客と関係性を築くための
もっとも重要な資産です。

地方中小企業といえども
営業秘密の管理は重要です。

一度流出してしまえば
取り戻すことはほぼ不可能。

後悔しないために
適切な営業秘密管理を実施しましょう。

関連記事

TOP