地方中小企業だからこそ挑戦したい「先回り営業」
先回り営業とはどういう行動か、
どのようなメリットがあるのかを書いてみます。
先回り営業とは
先回り営業とは
商品やサービスを生産・開発する前に、見込客を回って商談し先に受注を獲得してしまうこと
を言います。
ざっくり言うと、完成品を持たずに、先に売り歩くイメージです。
私は今年の4月から個人事業主一本で活動していますが、その前に先回り営業を行いました。つまり、「4月から経営コンサルティングを主軸とする社労士事務所だけで活動します。ついてはこういったメニューを提供するつもりです。顧問契約は検討いただけますか?」というのをこれという知り合いに投げかけました。
先回り営業の結果、4割の方からすぐにでも顧問契約を締結したいと意思表示をいただいたので、満を持して事業を立ち上げることが可能になりました。看板を掲げてから顧客探しに奔走するのは心理的に負荷がかかることです。また、もし市場性を見誤っていたら、文字通り看板倒れで終わってしまいかねません。先回り営業を実施することで売上から逆算した適切な投資を行うことが可能になります。
新商品開発の先回り営業にクラウドファンディングを活用
あるアパレル販売会社の事例です。
個人で行っている零細な事業者さんが新商品開発を行うことになりました。私から提案したのは、生産に着手する前に限定数を売り切ってしまうこと。つまり先回り営業です。
クラウドファンディングを利用し、All or Nothing型で受注生産を行うこととしました。事前にメーカーと仕様や見積もりを詰めておき、クラウドファンディングが成立すればその時点で損益分岐点売上高が達成できるように設定。経営者自らどぶ板営業を地道に行い、プロジェクト開始日に備えました。
実際にプロジェクトの受注を開始すると、ほんの数日で当初の目標を達成することができました。つまり先回り営業を行い、生産を始める前に新商品を売り切ることができたのです。
なお、最近のクラウドファンディングで行われているプロジェクトは、実質的に外国製品の輸入販売である場合や、大企業のテストマーケティングのような場合が多く、必ずしも以前のように中小企業が挑戦する事例は多くないようです。
クラウドファンディングは便利なプラットフォームではありますが、魔法の杖ではありません。どぶ板営業無くしては受注は得られませんし、消費者の視線も以前より厳しくなっています。プラットフォームに振り回されないよう意識し、先回り営業にうまく利用したいものです。
銀行融資を受けるにも先回り営業が有効
創業時期に銀行から融資を受けようとする場合、事業計画書をどう作成したらよいか考え込んでしまう経営者が多いようです。例えば、売上計画をどのように数字に落とし込めば良いのか、相談を受けることがあります。まだ立ち上がってもいない事業の売上なんて、この先どうなるかわかりません。未来の売上をどのように予測すればいいのか。真面目な方ほど考え込んでしまうのです。
私がお勧めしているのは銀行に融資を申し込む前に先回り営業すること。1件でも先に受注してしまい、その発注書を参考資料として事業計画書に添付するのです。こうすると事業計画書の売上計画は、少なくとも最初の一歩を踏み出している計画として信頼されやすくなります。
例え1件であってもゼロとイチでは大違いです。例えば「この 1件を獲得するのにこれだけの期間とコストがかかった、よって来年度は○○件の受注は可能と考える」といったように銀行担当者に根拠を示しながら説明することが可能になるのです。
先回り営業をすることで無駄な在庫を抱えるリスクを減らし、また売上から逆算した適切な投資を行うことができるようになります。必要に応じて経営者自らがどぶ板営業をし、先回り営業の効果を実感してみてください。
関連記事